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大工亀ちゃんのこだわり造家計画
ホ−ム

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第3話
土壁・荒壁 臭さの秘密
■はじめに
 メイドインジャパンにこだわるでも触れた木も、今回の土に関しても、自然のものです。この自然のものって自分の周りにいくらでも在るけど、建築材料にしようと思うと非常に難しい。『割れる』『縮む』『そる』などいろいろ弊害がでてくる。けれど自然のものの良さは『同じ物はひとつもない、よく似ていても必ず違う』。その点、新建材はすべて同じ材料で扱いやすい、手間をかけずに同じものができ、同じ強さで安く出来る、これが新建材の良さかな。
 しかし、自然のものは見立ては難しいし手間もかかる、強いけれど強度はバラバラだ。しかし価格はどこにでもあるものだから高くはないと思うし、長持ちもする。土壁は工期が長く、生産性が低いといった施工のマイナス面があるが、使用中はもとより、破棄時にも有害な物質を出さないなど地球環境や健康上、非常にすぐれていると思います。
 そして土壁の性能や使用を決める時、天候や季節、土の種類によって、そのノウハウはすべて職人の経験と勘に頼るもので、現在こうゆうことがわかる職人の数が少なく、また後継者不足も難しい問題です。
 さて今回は土壁に関してなので、土の事なら左官屋さん、わたしの仕事でお世話になっている、松木憲司氏(蒼築舎)の意見を参考に、初めは土壁の性能について調べたりしてまとめたものと、あとは特に荒壁についていつもの流れを書いてみようと思います。
土壁の性能
1)吸湿性、断熱性
 あえていろいろな断熱材との細かい比較はやめて、土蔵を思い浮かべてください。夏の暑い日にひんやりした涼しさ、梅雨時の、サラサラ感、冬は適度な湿度を保つウルウル感、けれど寒いかもしれない・・・。と想像されますか?
 土壁の性能は壁の厚さに左右されると思います。土は断熱性をあまり期待できませんが、蓄熱性はコンクリートや水のようにあると思います。(断熱材には蓄熱性、ないんじゃないかな?)
 土壁は、熱の伝わり方を厚みで遅くすることができます。夏は外部の昼間の熱が内部に伝わってくるまでに、外部の気温が下がってくる。冬は夜の冷気が伝わってくる前に、外が暖かくなってくる。それと内部のストーブなどの熱を蓄熱放出してくれる。このように土壁の温度変化はゆっくり変化し、人間には優しいのです。だからと言ってボード上に、3分(9o)ぐらいの厚みで土を塗ったとしても、本来の土壁の良さは出ないと思います。あと、珪藻土を使用した土は床下や屋根の断熱材に使う事も出来ます。
2)室内空気汚染物質の除去効果と脱臭効果
 土壁は他の壁材(新建材、クロスなど)に比べ、タバコの煙や浮遊粉塵などの汚染物質を吸着する働きがある。さらに吸着後の放散量も少ない。
3)土壁の防耐火性能
 そもそも土は厚さが同じであれば、耐火構造であるコンクリート壁よりも熱を通しにくいのです。土壁の厚みが60mm表面温度が1000℃の時でも裏面温度は100℃程度にとどまっています。(雑誌 建築知識より)そのとき壁自体は亀裂が入ったり脱落はしないが、燃えぬける(火が入る)とすれば柱と土壁の取りあい(真壁の場合)、すなわちチリ部分からであるらしい。この部分に隙間が出来にくくするように、やはりチリシャクリという納め方が最適ではないかと思います。
 また外壁にたとえれば杉の下見板を張ったとき、防火上どうなるかというのは、外部で火災があった場合、杉の板が燃え抜けるまで土壁は直接加熱されず温度は上がらない。表面に板を張らない場合よりも柱、梁、壁などで構造体への加熱が遅延され防火上は安全になると考えます。余談で外壁によくある焼杉は、板表面の可燃成分をあらかじめ飛ばしてあるので、処理してない材料に比べて着火直後の発熱量が小さくなるのでより防火的といえるそうです。(建築知識より)
)土壁の強度
 土壁の耐力壁としての働きは、ゆれた時はまず最初に土壁自体の粘りと固さで効いてくる。そしてある程度傾いてくると貫と壁が破断して土壁の役目は終わり、貫が柱の所でこじて効いてくるという仕組みです。私達が施工する土壁の場合の貫は、五段貫で結構こじると思いますが、そこまで来る前にがっちり土壁で耐えてほしいと思ってます。    
■左官仕事でよく使用する土は粘土です。
 粘土として使われる材料は、地中の粘土鉱床から採取されるもので、粘土分が非常に高いものは焼物に、それ以下は瓦材料に使われます。左官材料では粘土分が砂分に対して50%程度の比率のものが使われています。昔から土壁は現場近くで採取される粘土が使われてきました。各地域によっていろいろな土の種類があり、粘りのある土、砂気の多い土、固い土や、柔らかい土、たくさんあるけれど基本的には、地元の身近な材料をうまく使ってほしいと思います。
■それではこの粘土を使って荒壁を作ります
  1. 藁を投げ入れてる私私達は工事契約したと同時にまず泥コン屋で既にブレンドされた荒壁を買ってきます。そして現場か作業場で、3M×3M×1Mぐらいの穴を掘り、そこに一軒分の荒壁をぶっちゃケます。(2tダンプに5杯から6杯)そこにさらにワラを入れ(畳2,3枚ぐらい)かき混ぜます。そしてシートをかけ1ヶ月くらい置いておきます。するとわらが腐り、土がヘドロ色で、独特なる臭を放つようになります。こうなると土の強度も増し、水にも強くなり、ワラが繊維素だけになって非常に粘りがでてきます。そしてまたかき混ぜます。これを何回か繰返して出来上がりです。2〜3ヶ月ぐらいたてば大丈夫です。古土を入れて、早く作れる方法もあります。ですが、古土が入手困難のため先の方法が一般です。
  2. 次に荒壁の下地です。エツリといいます。一般的なものは竹子舞といって割りエツリ(竹小舞)竹で左官かエツリ師などが編んでいきます。この竹は土と同じく北国以外ではどこでも取れるし、割り加工がしやすいなどからです。これをワラ縄または?縄、麻縄などで絡げて作っていきます。最近では初めから竹が編まれているネットとかステンレスで出来たパネル、ワラ縄の代わりにビニールひもなど仕事も簡略化されてきています。(色々問題はありそう)
  3. 他に大工が作る木小舞では竹の代わりに木で編みます。木と木を交互にあわせて交点をステンレスの釘で止めていきます。竹子舞に比べて編んでいく手間があまりかかりませんが、壁のつき方が竹に比べて?私もまだやったことがないのでちょっとわかりません。竹に関しては虫がわきやすいので切り旬を重視して使います。木は乾燥した素材のよい杉の柾目材が適しています。こうしてエツリが編みおわれば、いよいよ壁付けです。さてこの一連の作業は左官の仕事ではなく、昔は親戚や近所の人達を集めて祭りの様相で荒壁が作られていました。このことを「結い」と言われていたそうです。現在ではこういう集まりは少なくなってきていますが、土壁や昔ながらの仕事に興味のある人達を集めてワークショップ形式でやるのも楽しいかと思います。
  4. さて、荒壁は表、裏と二回に分けて塗ります。そしてだいたい乾くまで夏と冬で違いますが一ヶ月前後です。この上に外部は大直し、内部は大直しの上に中塗りを続けて2回塗ります。大直しと中塗りの違いは砂の量です中塗りにかけて砂の量が多くなります。これは粘土の代わりに砂を入れ壁を割れにくくするためだと思います。
     荒壁は乾燥するにつれてひび割れが入ってきます。このひび割れやチリすきに、中塗り土が入り込んでしっかり定着されます。ひび割れは悪くはないですが小さいほうが強度的な面でも好ましいと思います。私の仕事ではこの土壁の強さで家の強度を出したいので、なるべく固い荒壁を作りたいのです。特に新土(泥コン屋からもらってきたばかりの土)は収縮が大きく乾燥後のあばれも大きいので、これを寝かすことで改善したり、ほかに古土を混ぜる事によって、割れなどを抑える事が出来ます。
     この古土なんですが、50年程度経過した土壁がよいそうです。この古土の中には、ワラスサ、小舞ナワ、中塗りスサ、砂などが入っています。粘性はありませんが有機物を多量に含み、バクテリアなどの活動が盛んになり新土に混ぜると良質な割れにくい荒壁になり、凍害にも強くなるそうです。
     凍害といえば話は変わりますが、冬場の土壁には凍てるという問題が出てきます。土の中の水分が凍って膨張しそれが溶けると壁がスポンジのようになってしまうのです。こうなると壁はパサパサで強度もなく中塗りも出来なくなり崩れ落ちてしまいます。私の現場で一度、工期がなく2月に荒壁付けをした時がありました。その時は、家全体をシートで包み、業務用の大きなストーブを3つ借りてきて、夜通したき続けたことがありました。ですが夜間、ストーブだけでは危なかったので、私は寝袋とウイスキー1本で、あの独特の臭いの中、2日過ごしたこともありました。このように土壁を付ける時は、ある程度時を限定する必要があります。
最後に
 このように私の土壁への思い入れは相当のものです。木への想いに引けを取りません。木と土があってこそ、私の思う家づくりが出来ると思っています。そうして大工の私に出来ることは、このように本当に良い材料である土壁の、長所・短所をよくふまえ、最大限に良さを出すよう心がけることだと思っています。
 そのためにいろいろな実験、勉強、努力をし、手間をかけています。最近も、試験用の土壁を作成して、左官の松木さんとともに実験中ですし、毎回、施工の時の土壁づくりのお手伝いをしています。
 また、土壁の新しい使い方もあると思って、日々いろいろ案を練っています。皆さんも一度考えてみてはいかがですか?是非、一緒に新しい土壁の使用方法を試しませんか?何時でも提案をお待ちしております。(メールはこちらまで!)
 そしてこれから家づくりをされる方は、あの臭いを嗅ぎながら土壁を自分でこねて、家族で自分の家の壁に土をつけてみませんか?そんなご希望のご家族をお待ちしております。
工程表へ戻る 2003年12月4日更新

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